私立大入試の思い出

 私の学校では私立大学の推薦入試を、合格したらそこに進学するもよし、抑えとして確保しておいて本命入試に注力するもよしとしていたので、私も、例に漏れず私立を抑えとして受験した。公募制推薦(学校推薦)の併願型で2校を受験したのだが、1校目は非常に思い出に残ったので語っていく。

 その学校は、60分で国語と英語のマーク式試験を行い、公募制ならば面接等は行わずそれで試験終了という、とてもすぐ終わる学校だった。11月の半ば、私は過去問を入手してまずは英語を解いてみることにした。答えは公開されていなかったため、個別指導の担当になっている先生に採点をお願いした。英語は文法問題20問と長文1題6問なのだが、次の日先生に、「非常によくできています。一問ミスがあったのですが解説いりますか?」としか言われなかった。実際見てみると、解いたとき悩んだ文法問題が一問間違っていた。そこは、自分がいつもわからなかったところだから解説を頼んだ。ものの5分で理解した。国語は現代文のみで、問題もどこかのパンフレットから引用した文章で、内容も簡単。国語をあまり得意としていなかった私だが、まぁまぁできた。

 いざ入試当日、過去問の手ごたえからして落ちるわけがないと確信していた私は、手続きを済ませ試験室へ入室した。自分の受験番号と氏名の印刷された紙の貼ってある机に座った。周りはまださほど来ていなかったが、制服は見たことあるところもあればないところもあった。しばらくして、試験官が入室し注意事項を言い始めた。問題が配られ、試験開始となった。英語はやはり簡単。国語も、一問不明瞭であったが、余裕であった。

 試験終了後、周りに誰がいるのかと見まわした。「右斜め前は近所の私立高の制服だな、前と横はわかんないな」なんて思いながら後ろは誰かと見てみると、その制服はやけに見覚えがあった。「あれ。この制服どこかでみたことあるな。近所じゃない。もしかして元カノのとこか。」と思いつつ考えていたら、列ごとに退室が始まった。そして、横の列が退室準備のため起立をしたら、右斜め前の横顔に見覚えがあった。まさかと思い、自分の列が退室するときにその席の氏名を見たら、中学の同級生であった。彼とは多少なり面識はあったが、中学の卒業後全く会っていなかった。髪型も変わっていたから、顔を見るまでは気が付かなかった。

 帰り道、後ろの席の見覚えのある制服をはっきりさせるため、インスタで元カノの同じ学校の人のアカウントで確認したら、やはりあれは元カノの学校の制服であった。あそこで会話したらなにかあったのだろうか、人見知りの私には至極難しいことである。

 入試の結果だが、合格していた。そこの学校を公募制推薦で受験する後輩諸君、試験についてわからないことがあったら私に聞いてくれ。