冷温

 私は高校一年生の時、学校の語学研修で南半球の英語圏の国に行った。滞在したのは7~8月で、日本では猛暑真っ盛りであるが向こうでは冬並みの気温で肌寒かった。お土産で扇子を持って行ったが、ホストファザーから冗談交じりに「時期が全然違うで」と指摘されたのもいい思い出である。海外こそ初めてではなかったが、学校以外は完全に日本人のいないホームステイだったから生活は苦労した部分もある。今回はその中で生活序盤に困ったことを1つ挙げる。

 あちらの国では、入浴はバスタブを使わずシャワーの人が多い。私のホストファミリーもそうだったらしく、バスタブこそあるものの使われた形跡はない。日本での説明会でも言われたが、どうやら日本と違い水はかなり貴重らしく、水は各家庭にタンクで貯蔵されており一日の使用量は決められているとかなんとか...(記憶が曖昧で多分そんなこといってたな程度)。風呂も、10分以内に済ませと言われていた。ホストファミリーからはそんなことは言われなかったが、自分はできるだけ入浴時間と使用量は気を付けたつもりであった。

 しかし入浴時、私は大きな問題に直面した。それは、水温の調節である。床はタイル張りで冬はかなり冷たい。お湯が欲しかった私は、水温調節のためのハンドルを温水方向に回した。シャワーを出してみるとまだ冷たい。しかしお湯になるまで水を出し続けるわけにもいかずすこし経ってからシャワーを出してみた。しかしいつまで経っても冷たい。出し続けるわけにもいかずその日は仕方なく冷水のままシャワーを浴びた。この寒さじゃ風邪でも引くぞと思っていたが全く体調を崩さなかった。次の日、今度こそはと少量ながら出し続けると温かくなった。よしと思った私はシャワーを普通の水量にした。洗髪をすると突然シャワーから火傷するんじゃないかと思ったくらいの温水が出た。焦って冷水にハンドルを回すと今度は凍てつくような冷水が出た。寒暖差で今度こそ風邪を引くぞと思ったがまたしても体調を崩さなかった。

 数日後、いい温度を見つけその後はなんとか過ごすことができたが、諸君は外国のシャワーの水温はかなり気を付けたほうがいい。私からの忠告である。